ソーシャルビジネスケース集

最高のストーリーをもたらす旅で
地方創生に貢献する

Eighty Days株式会社

図1 能楽を体験するツアーの様子

Eighty Days株式会社1(以降、Eighty Days と記載)は、「最高のストーリーを旅する」ことをコンセプトに、外国人旅行客と地方を訪れ、地元の人との出会いや文化交流を促進する観光事業を展開する企業である。
同社が企画実施するツアーや体験コンテンツ等の観光商品は、単に地方を観光するだけでなく、外国人旅行客がその土地ならではの伝統文化・芸能や行事などの「非日常」を体験できることが特徴である。Eighty Daysという社名は、フランスの小説『80日間世界一周』に由来している。非日常の旅を提供することを通して、同小説のように、何十年経っても語りたくなるようなストーリーを届けたいという思いが社名に込められている。

⚫ 観光業を通した地方との連携

日本は少子高齢化の進行により、人口減少や経済規模の縮小が予測されている。特に、地方においては、経済や伝統文化が衰退し、消滅の危機に晒される等の様々な問題が生じている。街の活気が失われ、後継者不足が深刻な地域も少なくない。
Eighty Days は、観光事業を通して、このような課題を抱える地域と連携することで、地方経済や伝統文化の活性化に貢献することを目指している。
例えば、同社は、九州においては宮崎県の高千穂町、お茶の産地として知られる佐賀県の嬉野市や長崎県の東彼杵町等で、地域の方々と連携した観光商品を展開している。2022年からは、宮崎県の高千穂町で、神楽の伝承に携わる女性と連携し、夜神楽を体験できるツアーも始めた。高千穂町の神楽は、800年以上にわたり受け継がれてきたが、人口減少や少子高齢化に加え、近年はコロナ禍で神事が中止に追い込まれたこともあり、継承の危機に立たされている。同社のツアーは、観光客向けの夜神楽の鑑賞ではなく、地元の方々と夜神楽の準備から終わりまで全て体感できる点が特徴である。

1 代表取締役:グランジェ七海、本社:東京都品川区

このケースは、株式会社ケース・ラーニングが、九州地域ソーシャルビジネス・コンソーシアムの監修のもと作成した。ケースの記述は、経営管理上の問題点を例示するものではない。本ケースの作成にあたっては、Eighty Days 株式会社の グランジェ七海代表取締役はじめ、社内外の方々にご協力いただいたことに感謝したい。



 
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