ソーシャルビジネスケース集

働きたい女性のための
「オーダーメイドのキャリアステップ」を創る

WorkStep株式会社

図1 女性の就労支援について説明する田中彩さん

WorkStep株式会社1(以降、WorkStepと記載)は、「自分らしいキャリア」を重ねられる社会を実現することを使命に、キャリアを中断した女性と産業をつなぐ仕組みを提供する企業である。2017年に福岡市で創業し、厚生労働省から有料職業紹介事業の認可を取得した。同社は、結婚や出産等を経て、もう一度働きたい女性たちと企業をマッチングすることで、経験やスキルが豊かで働く意欲のある女性が埋もれることなく、貢献できる社会づくりを目指している。
「自分らしいキャリア」を実現するためには、働きたい女性が、その希望を叶える仕事や企業と出会うことが不可欠である。また、同じように復職を望む女性でも、一人ずつ異なる家庭環境、以前のキャリア、関心分野や希望する働き方等がある。例えば、子育てから復職する時期は、簡単な内容の仕事からスタートして、徐々にやりがいも得られる仕事にキャリアアップしたいという女性もいる。あるいは、専門知識を活かしつつ、勤務時間を短縮して働きたいという女性もいる。WorkStepは、このような女性たち一人ひとりの希望に寄り添いながら、復職に向けたオーダーメイドのキャリアステップを創る支援をしている。
同社は、2018年に、経済産業省が推進する「未来の教室実証事業2」の一環として、復職を希望する女性が必要なスキルを学ぶ講座や、復職までの道のりに伴走するキャリアコーチの養成プログラムを開発した。さらに、2019年は、「九州経済産業局における地域中小企業・小規模事業者の人材確保支援等事業3」に採択され、ダイバーシティ経営の普及啓発を目的とした企業向けのセミナーや、復職を希望する女性を対象とした、リカレント講座を実施している。また、同社が開発した教育コンテンツは、「福岡女子大学復職女性向けリカレント講座」においても採用されており、もう一度働きたい女性たちの学び直しに貢献している。
また、2020年度休眠預金活用事業の資金分配団体である九州地域ソーシャルビジネス・コンソーシアム(公益財団法人九州経済調査協会/一般社団法人ユヌス・ジャパン)が実施する「ソーシャルビジネス循環モデル地域形成事業4」の実行団体5に採択され、NPO法人ママワーク研究所6と連携しながら、九州全域、山口および沖縄を対象に、後述する「ママドラフト会議® for Kyushu Island」を展開している。
 

図2 講座の様子

1 代表者:田中彩・大和田徹、本社:福岡県福岡市中央区
2 民間と学校等が連携して新しい学び方を模索する、経済産業省による公募事業。
3 九州の中小企業等の人材確保・活用を通じた競争力強化を目的とした、経済産業省九州経済産業局による公募事業。
4 九州地域(九州・沖縄・山口)を対象とした、休眠預金等活用制度に基づく助成事業。指定活用団体である一般財団法人日本民間公益活動連携機構より、公益財団法人九州経済調査協会と一般社団法人ユヌス・ジャパンが資金分配団体に採択され、実施している。助成事業を通して、ソーシャルビジネス先進地域の創出とネットワーク化を目指している。出典:公益財団法人九州経済調査協会ウェブサイト「休眠預金等活用制度に基づく助成事業」(https://www.kerc.or.jp/ksbc/) 2023年3月1日参照
5資 金配分団体から採択を受けて、活動を実施する法人や民間団体等を指す。
6 仕事と子育ての両立を目指す女性たちを支援するために、2012年に田中彩さんが設立したNPO法人。

このケースは、株式会社ケース・ラーニングが、九州地域ソーシャルビジネス・コンソーシアムの監修のもと作成した。ケースの記述は、経営管理上の問題点を例示するものではない。本ケースの作成にあたっては、WorkStep株式会社の 田中彩代表取締役はじめ、社内外の方々にご協力いただいたことに感謝したい。



 
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